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PICC大阪支部 100年企業研究委員会 荒川化学工業 訪問レポート

前川洋一郎 特別顧問 Presents 100年企業訪問ツアー(第2回)

  

 

PICC大阪支部・100年企業研究委員会は、前川特別顧問に企画いただいた「第2回 100年企業訪問ツアー」を昨年11月18日に実施しました。今回の訪問先は、天然樹脂ロジン(松やに)を主原料とする中間素材メーカーの荒川化学工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表:谷奥勝三氏 http://www.arakawachem.co.jp/)。同社の創業は1876年。2016年で何と創業140周年を迎えました。工場や本社を見学させていただき、前社長の末村長弘相談役にお話を伺ってきました。

 

 

  

会社が140年も継続できた要因のひとつとしては「非常にニッチな部分の専門化学メーカーだからです」と“総合化学メーカー”として成長ありきで事業領域を拡大してこなかったことを強調していらっしゃいました。

  

また、地域との「縁」を大切に考え、慣れ親しんだ土地で心豊かに生活し、それが自分や周囲の実となり幸せに暮らしていくことは子孫繁栄のためにもなる、として生まれ育った地元・大阪をこよなく愛している方でした。

 

 

いくつか意外だったこともありました。企業継続において理念の継承は非常に重要ですが、同社が社史の編纂をはじめたのは、何と創業して100周年を迎えようというタイミングでした。当時は三代社長として荒川吉正氏が就任したばかり。あわせて41歳とまだ若かったこともあり、「荒川の歴史をしっかりと伝承していくことが大切だ」という想いで、元役員が手分けして10年近い歳月をかけてつくりあげたのだそうです。

 

また、同社グループ全体の経営理念「個性を伸ばし 技術とサービスで みんなの夢を実現する」ができたのもわずか23年前ということでした。この理念は今なお受け継がれていますが、一方的に伝えるだけではなく、各部門からテーマをあげさせて社全体の年度指標をつくるなど、双方向のコミュニケーションも行っているそうです。『人の考え方や受け取り方は時代とともに変化する。時には表現を変える必要はあるが、本来の想いは変えず未来へ受け継いでいきたい』と、熱く語っていただきました。

 

 

創業来の精神「大家族主義」を明文化したのは末村社長でした。さまざまな取り組みをされている同社ですが、工場の事故などによる物故社員の慰霊祭は今年で80回を迎えます。これこそ「大家族主義」の原点となる大事な儀式。また、社員の子供が小学校に入学する際はランドセルをプレゼントしたり、社員の家族にはお歳暮を欠かさず贈ったりしているそうです。

 

会社にとって経営者は必要ですが、その前に社員がいなければ成り立たない。「会社は誰のものか?」という問いに対する同社の答えが「大家族主義」という言葉に込められています。企業理念が脈々と受け継がれている荒川化学グループのさらなる発展は必然にように思えました。

 

PICCは、100年企業研究などの活動を通じて、社会に貢献しうる企業の在り方をこれからも探求してまいります。

 

 

 

  

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