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株式会社キングオブルーキー

ラーメン店だからできる「社会性」からスタートする経営に挑む

【PICC会員企業紹介】

※  本記事は、2024年9月に掲載されたものであり、掲載当時の情報となります。

 

 株式会社キングオブルーキーは、豚骨ラーメン店「ろくでなし」を福岡県内に展開。豚骨ラーメンには誰もが一家言を持つ地域において、「こってり」と「あっさり」の両方の風味を極めた二刀流で高い人気を誇る。「うちでしか食べられない味」「クセになる味」にこだわりながら、常に「現状維持は衰退の道」と心得、前進し、チャレンジし続けている。
 
 同社代表の中村 誠さんは、創業以来、経営者として実行・実現・手応えは常にあったが、いつからか、経営の勢いにブレーキがかかっていることに気づいた。経営者仲間に誘われ参加したPICCでは、福岡支部長(当時)・飯田剛也さんの「在り方塾」、そして大久保秀夫会長の「本質道場」に学ぶことで、これまでの経営を言語化し、理念を明確にできるようになり、未来を語ることが可能になったと言う。現在を「第二の創業期」と意気込む中村さんに、PICC入会1年目の実感について伺った。
 

ラーメン店だからできる「社会性」からスタートする経営に挑む

代表取締役 中村 誠さん【画像提供:キングオブルーキー】

会社概要

株式会社キングオブルーキー

代表取締役 中村 誠
 

事業内容:飲食

所在地:〒811-3217 福岡県福津市中央4-22-30 第二山田ビル5

設立年月日:2013年11月

TEL:0940-36-9525

https://rokudenashiramen.com/ 
 

理念の大切さ

 2013年に独立開業を果たした時から、私の経営理念にあるのは「利他」の精神です。しかし、最初にあったのは「生き残りたい」「潰れたくない」という思いでした。逆に「選ばれる」ためには何を成すべきか? 街の人たちに選ばれる。必要とされる存在になる。この店でしか食べられない味を提供する。そのことを目指し、そして「ろくでなし」だけの美味しさを生み出すために、独自の製法「熟成豚骨」を生み出したのです。お客さまのために唯一無二の旨さを提供できる「ろくでなし」が誕生できた時、私が実感したのは「生き残った」という安渡ではなく、自分もハッピーになれるという利他の本当の素晴らしさでした。

  

コーポレートパーパスを作る際には、こうした「利他の循環」を意識しました。

 

○存在意義

 全スタッフの成長と幸せを通して世の中に貢献する。

○ミッション

 美味しいとありがとうを作る。

○ビジョン

 ・目標 … 飲食事業には世の中を輝かせる力があります。私達の仕事でお客様が元気になり、そのお客様が

  また違う誰かを元気にする、それが巡ってやがて地域が輝くという、そんな町の元気の源になろう。

 ・合い言葉 … 元気よく、カッコよく、可愛く、面白く。

 

 「存在意義」に働く人への眼差しを置いたのは、私自身が実感した「ハッピー」が利他の循環の大切な一部だと理解したからです。「ろくでなし」で働く全スタッフが、私と出会い、この会社に入ったことを「本当に良かった」と実感することが、今度は個々の「ハッピー」を生み出します。それこそが私が経営者として、社会に生み出せる価値の最上位に置くべきものだと考えました。また、「ミッション」にある「美味しい」は店側の価値提供であり、「ありがとう」はお客さまが発する言葉です。普通なら、来店いただいたお客さまに店側が「ありがとうございました」を伝えます。でも、そこには「商品」と「代金」の交換に伴う儀礼の面が強く、決めてしまえば行える行為です。一方で、お客さまに「ありがとう」と言っていただくことはとても難しいことです。私は、「ありがとう」が生まれる店を作り、利他の循環を実現する場を作る思いをコーポレートパーパスに込めました。

  

 こうして私なりに経営の理念を言語化できたのは、PICCと出会えたからこそのことです。福岡支部長(当時)・飯田剛也さんの「在り方塾」、そして大久保秀夫会長の「本質道場」の学びから得たものと言えます。

    

理念の大切さ

福津本店の外観【画像提供:キングオブルーキー】

PICCからの学び(PICCによる変化)

 創業以来、私には店舗を増やしたいという情熱が常にありました。早く10店舗に増やしたい。そう思っていたのですが、3店舗目の開業以降は、なかなか次の一手が打てずにいたのです。その悩みを、福岡県中小企業家同友会で知り合った株式会社Link Function Projectの坪井望さんに相談しました。坪井さんは私と同年齢ですが、すでに複数の整体やヨガの店舗を運営していたのです。すると、「一度、PICCを体験するといい」と勧めてくれました。それが、私とPICCの出会です。今から、まだ1年ほど前のことでした。

  

 これまで、何事も猪突猛進、独学、自己流で進んで来た私には、PICCの学びは、刺激と発見に満ちたものでした。同時に「難解」なものでもありました。それは「答がない問い」について考え続けることです。大久保会長の「本質道場」では「利他とは何か?」と問われました。飯田さんの「在り方塾」では「社員に夢は見せられているか?」と問われました。その度に即答はできないのですが、その言葉がグイグイと私に刺さってくるのです。中でも会長の「創業時の情熱や本気を今も燃やし続けているか」という問い、さらに「まわりに燃え広がせろ」という言葉が私の心深く刺さりました。

  

 問われる度に「できてない」「やってない」「答を持っていない」と自戒しましたが、会長が「正解は私も持っていない」と言われた時に「これは大きなヒント」だと思いました。これからやるべきことをまだやってないのは当然です。「在り方道場」であれば「在り方の前の話」を考え、現状を浮き彫りにしているのだと気づきました。そして、私は自分の強みと弱みに気づくことができたのです。

  

 順調に3店舗目までを開業できた私は、リスクに怯えるようになっていたのです。社員も増え、昇給、賞与も出せる経営に自信を持つと同時に、このバランスが崩れることを無意識に恐れていました。しかし、PICCの学びで「現状維持は衰退だ」「創業時の情熱でまだやってないことにチャレンジしよう」と思えるようになったのです。そして、新たな4店舗目の開業を果たすことができました。

  

PICCからの学び(PICCによる変化)

PICC福岡の定例会【画像提供:キングオブルーキー】

PICCでの学びの実践と成長

 私がPICCの学びで得た気づきを1つご紹介します。「王道経営実践7つの柱」では、社会性→独自性→経済性へと進む「順番」の大切さを私は理解しました。経営者が「経済性」を起点に考えてビジネスモデルを模索すると、最初に求めたはずの経済性の果実=売上や業績は決して持続し得られないのです。では、「社会性」の実現のために経営者に何ができるのか?

  

 「社会性」を噛みくだくと「困りごとを解決する」「誰かの役に立つ」ことだと見えてきます。ラーメン店としてできることは、私の店でしか味わえない美味しさをつくることでした。これはやってきたことの再確認、自信につながりました。そして、働いて良かったと思える店をつくることは、まだまだこれからです。だからこそ、コーポレートパーパスの中心に全スタッフを置きました。私は、会社が10期目を迎えたのを機に、経営者兼人事部長となり、アルバイトも含めた新人の研修を担当しています。実務の研修はベテランに任せますが、会社の理念、経営者の情熱を全社に薄まることなく伝えることは、経営者にしかできない仕事だからです。実はこれも、大久保会長が実践されていると知り、真似てみました。

  

 創業時と変わらない私の情熱が全社化することで、今後は年に1、2店舗の新規開店を実現して行きたいと考えています。「ろくでなし」が多くの地域に誕生し、店でアルバイトをした人が、就職した人が、「ここで働いて良かった」と実感し、店でラーメンを食べた人が「ありがとう」と言っていただける場となれば、世の中に元気がどんどん広がって行きます。働く人も、食べる人も、人がたくさん集まる場をもっとたくさん誕生させることで、利他が循環する社会を作る。それは「ろくでなし」のこれからの役割です。

  

PICCでの学びの実践と成長

2024年から始まったPICC「本質道場」の様子 

事業紹介

 「ろくでなし」は、福岡県内に「福津本店」「宮若店」「新宮店」「吉塚店」の4店舗を展開。2024年8月にオープンした「吉塚店」は、同じPICC福岡会員でもあり、幅広い業態の飲食店を経営・展開している「アトモスダイニング」とタッグを組み、昼はラーメンを提供し、夕方以降は「居酒屋」としても楽しめる新スタイルを追求する試みです。他に2024年には、福津市にセントラルキッチンも新設しました。手間と時間のかかる豚骨スープの製造や、下ごしらえの必要な具材を一括調理し各店舗に供給することで、品質の向上と安定、調理に必要な人手確保の課題解決を図ります。

  

 このセントラルキッチンは、単に人手不足解消のための業務も効率化ではなく「社会性」実現の一手でもあるのです。ラーメンはシンプルな料理でもあり、その下準備は地味ですが規則的なくり返し作業が多くあります。そこで、セントラルキッチンでは、地元自治体と協力し、障害者の方々の雇用促進を進める予定です。事業者と利用者の間で雇用契約を結ぶ就労継続支援A型事業所を目指します。「美味しいを生み出す場」、そして「ここで働いてよかった」を実感いただける職場とすることが、経営者としての私の新たな目標です。

   

事業紹介

「ろくでなし」の自慢の一杯。「熟成とんこつラーメン」(850円)
【画像提供:キングオブルーキー】

プロフィール

中村 誠

株式会社キングオブルーキー 代表取締役

  

1979年福岡県生まれ。都内の大学在学中にタレントのデビット伊東さんが経営するラーメン店「でびっと」でアルバイトとして働く。卒業後もそのまま就職し、同店の新規店舗拡大にも取り組む。13年間勤めた後、幼なじみの友人に背中を押され、2013年に地元福岡県にて独立開業を果たす。2014年には株式会社キングオブルーキーを創業する。現在、福岡県内に4店舗を展開し、さらなる店舗数拡大に挑戦中。

  

 

※  本記事は、2024年9月に掲載されたものであり、掲載当時の情報となります。

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