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株式会社カウテレビジョン

PICCでの学びをすべて素直に実践してきて今がある

【PICC会員企業紹介】

※  本記事は、2024年4月に掲載されたものであり、掲載当時の情報となります。

  

 株式会社カウテレビジョン代表の高橋康徳さんは、テレビの報道記者をしていた2001年、アメリカの9.11テロの現地特派員に選ばれる。そこで現地を取材する中で、果たして自分は何のために生きるのかを自問自答する。その答えとしてテレビ局を辞めて、ゼロからインターネットのテレビ局を作りあげた。

  

 株式会社カウテレビジョンは「世界一働きたいメディア企業になる」というビジョンの実現に向けて、企業の採用に役立つドキュメンタリー映像を作るなど独自の事業を展開している。また、その過程でネガティブな要素は発信せず、「ポジティブ100%」をポリシーに、視聴者の人生をより良いところに導くためのコンテンツ発信を続けている。

  

 今回は、株式会社カウテレビジョン代表取締役の高橋康徳さんに、企業経営におけるビジョンの大切さ、PICCの活動での学び、そして「王道経営実践7つの柱」について伺った。

  

PICCでの学びをすべて素直に実践してきて今がある

株式会社カウテレビジョン代表取締役の高橋康徳さん【画像提供:株式会社カウテレビジョン】

経営理念とビジョンの大切さ

 株式会社カウテレビジョンでは、「いい人生、いい社会」という企業理念を掲げています。この理念は具体的に、

  

 ・クルーはファミリー。互いの豊かな人生を願い、感謝し、共に成長します。

 ・お客様に誠実に貢献し、かけがえのない、価値ある会社になります。

 ・地域社会の信頼に応え、世界と未来に貢献できる会社になります。

 

という3つの要素を含んでいます。

  

 元々私達は企業理念に「価値を伝える」という理念を掲げて創業以来15年ほど走ってきましたが、2019年に理念を見直しました。創業の原点に立ち返り、自分の想いを紐解いていった結果、この理念に行き着いたんです。

  

 この理念を一般社団法人公益資本主義推進協議会(PICC)で教わった100年ビジョンの考えに照らし合わせたとき、「世界一働きたいメディア企業になる」という姿が浮かんできました。そして今は全社でそのビジョン実現を目指して一丸となって取り組んでいます。

  

 今はマスメディア企業が苦境に立たされています。地上波テレビ局の苦戦の背景には、動画配信サービスの台頭といった要素があるだけでなく、これは長年の視聴率至上主義の成れの果てであると見ています。「自分さえよければ、視聴率さえ取れれば」というスタンスで、スキャンダルや醜聞、事件や事故など「人の不幸事」ばかりを発信し続けた結果ではないでしょうか。

  

 しかし私たちは、メディアは世の中に必要な存在であり、人々は発信されるコンテンツによって救われ、より良い人生に導かれると信じています。そのため我々が生み出すコンテンツのポリシーに、「ポジティブ100%」というものがあります。いわゆる事件や不祥事のようなネガティブなコンテンツはカウテレビジョンは一切制作しないという取り決めです。このポリシーには、肯定的・積極的・建設的に生きることを非常に大事にしてきた私自身の考えも影響しています。

  

 これらの理念やビジョン、ポリシーを達成するために幾つかの取り組みを行っています。例えば、毎週月曜日に社長が全社に向けてメッセージを発し、それを元に社員がディスカッションをしています。また全社合宿、階層別合宿、部門別合宿という形で、日常の仕事を止めて、中長期的に思考を深める機会を様々用意しています。他にも、朝に自分の理念やビジョン、日々の計画を確認し、夕方にレビューをすることで、その日の行動が自分の目標達成に適っているのかを日々考えられる風土作りにも取り組んでいます。

  

経営理念とビジョンの大切さ

全社合宿の風景【画像提供:株式会社カウテレビジョン】

PICCからの学び

 PICCの大久保会長には、大久保秀夫塾2期生のころから学ばせてもらっています。その過程で当時はまだ6000万円だった売り上げが3倍に伸び、社員も2倍以上に増え、利益は5倍という企業体質を作ることができました。

  

 そういう数字の変化も大きいですが、一番は「社会性、独自性、経済性」という言葉による後押しです。自分たちがやってきたことを見事に言い当てられた言葉で、取り組んできたことに自信を持てました。「ここで学べば自分たちが本当にしたかったことを胸を張ってできる」と感じて、大久保会長やPICCで学んだことは全部取り組んでいったと思います。100年ビジョンを作ってそこからアクションプランにつなげたり、新規事業を始めるときには、社会性、独自性、経済性がそれぞれあるのか、3本軸でチェックしたりすることを常に意識しています。

  

 以前は僕の伝達力が足りなくて、社員たちに学びを落とし込めていないという課題がありました。でも教わったものをそのまま社内に落とし込んでいったことで、社内のメンバーの理解度が格段に上がったと思います。

  

PICCでの学びの実践と成長

 PICCが提唱する「王道経営7つの柱」から「独自性」と「経済性」と「継続性」を取り上げ、より具体的に活動を考えていきたいと思います。

  

 独自性の観点では、著作権レンタルというユニークなサービスを提供しています。通常の動画制作会社は動画ごとの売上によるフロービジネスが大半であるのに対して、私達は170社のお客様に毎月3万円から4万円の月額使用料をいただきながら、著作物をレンタルする形をとっています。これによって売り上げの30%程度がストック収益となって、経営を安定化させています。このビジネスモデルは、九州アントレプレナー大賞という賞をいただくなど、対外的な評価も得ています。

  

 また、「あいのりインターン」や、最終選考で落ちた人を別の企業の最終選考前から新たに選考を受けてもらう「ファイナリスト企画」というものも実施しています。あるいは取材の手法も他の会社がやらない手法で差別化しています。他にも、親の誕生日は会社に来てはいけないという社内制度や、新卒内定者全員の家に社長が訪問するなどは独自の文化です。

  

 このように商品そのものの差別化だけでなく、サービス提供方法の差別化、社員の働き方の差別化などを多角的に行っています。また差別化の目的はあくまで「困り事を解決する」という社会性であって、ただ単に「目先の面白さや奇抜さに囚われることが無いように」というポリシーにこだわっています。

  

PICCでの学びの実践と成長

社員の家族も招いての家族懇親会【画像提供:株式会社カウテレビジョン】
 

 続いて経済性の観点です。コロナ禍で一時売上が3カ月間ほど止まってしまい、毎月600万円の赤字が出るような危機的状況を迎えました。しかし、コロナ対応商品としてZoomを使って企業と学生が出会える仕組みなどを提供し始めたことで、一気にV字回復し、最終的には経常利益16.7%で着地しました。その翌年はさらに伸びて、経常利益率18.8%、社員さんに3回ボーナスを払うことができました。社会に必要なことをし、かつ他にない差別化された手法でやれば必ずその事業は必要とされ続けるという教えを信じて、世の中にないものをずっと生み出し続けてきた結果です。また直近の自己資本比率は61%で、18カ月ほどは売上ゼロでも会社が倒れないようにしています。内部留保によって社員の生活や安定を守る為の備えを計画的に蓄え、そのために税金もちゃんと払ってきました。

  

 継続性の観点では、10年先のビジョンを社員と一緒に作り、社内に浸透させています。またNo.2の育成にも取り組んでいて、候補生に対してマネージマネジメント研修を取り組んできています。私達の事業は人材投資が要であるため、一番力を入れている部分です。社員27名のうち12名がここ2年の新卒採用というように、今は中長期的な人材投資のフェーズだと考えています。社内にベトナム人とインド人の2人の外国人社員もいて、これから海外に向けた事業展開も彼らとともにやっていく準備を進めています。

オフィスの風景【画像提供:株式会社カウテレビジョン】  

事業紹介

 株式会社カウテレビジョンは企業専門のインターネットテレビ局としてコンテンツ作りを行っています。企業に特化したコンテンツは大きく2種類あり、一つが経営者に特化したインタビューです。業界でNo.1の企業がどのようにしてゼロから生まれ、壁を乗り越え、No.1になってきたのかを掘り下げるような対談番組で、20年間で800社ほどインタビューしてきました。

  

 もう一つのコンテンツが、社長だけでなく社員も含めて取材する、社員が主役の採用ドキュメンタリー動画です。これは採用難の時代の解決策として生まれました。学生たちが本質的に知りたがっている、会社の魅力や会社での働き方、どんな喜びがあってどんなコミュニティなのか、といった具体的な企業の情報を発信しています。今でこそ動画発信による採用活動は主流になっていますが、その先駆けとなる取り組みといえます。もちろん、ただ動画にすればいいのではなく、ドキュメンタリーとして企業や社員、お客様のリアルな姿を見える化しています。180の企業へこの動画作りのサービスを提供しており、茨城県の物流企業が2年連続で新卒採用が取れなかった際には、毎年コンスタントな採用ができる状態を実現し、今では20名もの新卒が集まるような成果を出しました。

  

 近年はその他に

 ・インターンシップ支援事業:企業4社を訪問できる、ツアー形式のインターンシップをプロデュース

 ・コンサルティング事業:採用そのものを1から構築し直し、トータルで仕組み作りをする支援

 という事業も行っています。

  

 弊社の最大の強みは、社員がまだ4名しかいない状況から、求人サイトも使わずに10年連続で新卒採用に成功し、その過程で培ったノウハウにあります。中小企業は給与や福利厚生など、大手と同じ土俵で戦っても勝ち目がないので、とにかくその大手のやってこない手法で差別化しながら戦い続けてきました。そうして弱者の戦略を貫いてきたことが、偶然ランチェスター戦略という理論と一致していたため、「採用×ランチェスター戦略」というコンセプトで理論を体系化しています。その内容をまとめた採用ランチェスター戦略セミナーには、開始から半年で既に80社もの企業が参加してくださっています。

  

 これからもこういった取り組みを通して中小企業を支援していき、「いい人生、いい社会」の実現に向けた活動を続けていきたいと思います。
 

企業概要・事業内容

株式会社カウテレビジョン代表取締役

高橋康徳

  

所在地:

福岡オフィス 福岡県福岡市中央区天神3-4-5 ピエトロビル8F

東京オフィス 東京都港区南青山2-2

熊本オフィス 熊本市中央区上通町2番17号 びぷれす熊日会館7階

  

TEL:092-401-6055

  

設立:2004年5月              

  

事業内容:インターネットTV局カウテレビジョンの企画・制作・運営、映像を活用した企業の採用活動・情報発信の支援、テレビ番組(主にドキュメンタリー)の企画・制作

https://cow-tv.com/

※  本記事は、2024年4月に掲載されたものであり、掲載当時の情報となります。

取材協力:

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