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【PICC会員企業紹介】
※ 本記事は、2022年2月に掲載されたものであり、掲載当時の情報となります。
地域貢献への思いを地域密着型の事業として体現している株式会社キャリアドライブ。3代目代表の田村嘉規さんは、事業活動自体を社会貢献活動であると位置付け、50年以上にわたり運営してきた自動車教習所事業を軸に、訪問看護事業、保育事業、生涯学習事業などの、異なる業態の新規事業に積極的に取り組んできた。
これら事業には一貫して「地域から認められ、必要とされる存在になる」という地域貢献への強い思いが込められている。公益資本主義経営を実践する一般社団法人公益資本主義推進協議会(PICC)での学びがあったからこそ実現した事業成長。
今回は、株式会社キャリアドライブの代表取締役の田村嘉規さんに、企業経営におけるビジョンの大切さ、PICCの活動での学び、そして「王道経営実践7つの柱」について伺った。
株式会社キャリアドライブ
代表取締役 田村嘉規(たむら・よしのり)
所在地 〒252-0806 神奈川県藤沢市土棚800
資本金 1,000万円
設立 昭和41年9月20日
事業内容 藤沢高等自動車学校、静岡県富士自動車学校、三共自動車学校、ハートケア湘南訪問看護リハビリステーション、レンタルバイク藤沢店、国家資格キャリアコンサルタン養成講座、ふじさんBu-Bu保育園
株式会社キャリアドライブは、『我が社は社会貢献企業でなければならない』という経営理念を掲げています。事業活動自体を社会貢献活動であると位置付け、積極的に新規事業の創出に取り組んできました。当初は自動車教習所事業だけでしたが、自動車学校を利用する地域の人たちと生涯にわたって関わりたいと思い訪問看護事業を運営し、地域の人に加えて社員のキャリアも守りたいと思い保育事業を始めました。先述したキャリアコンサルタント資格取得のサポート事業も、地域の人たちの豊かなキャリア形成に繋がっています。
全てのベースとなっているこの経営理念は、経営者となった半年後に作ったものです。当時は会社の業績も低迷し、どうすれば復活できるのかと常に頭を抱えていました。自宅の屋上で空を見上げながら、自分が大切にしていることを改めて考えていたとき、やはりこれだと思ったのが「社会貢献を企業として体現する」ことでした。地域から認められ、必要とされる存在になることが私にとって一番大切な思いだったんです。営利性が第一ではありませんので、短期的に見ると損をする選択をしていると思われるかもしれませんが、長い目で見ると社会貢献企業であることは必ず実を結ぶと信じています。
PICCでの一番の学びは、「社会貢献をしたい」という思いを、時代や地域のニーズにマッチするかたちでサービスとして提供する方法を学べたということだと思います。「事業は社会性、独自性、経済性の順番で考えるべき」という教えを体現してきた大久保会長だからこそ、その本質を多くの経営者に伝えられるのだと思います。大久保会長は、私にとって初めての「経営の師」です。行動と成果が伴う大久保会長の言葉はいつも私の胸に深く刺さります。「経営者は明元素(明るく元気に素直)であるべき」という言葉も心に残っていますね。貴重な学びをたくさん与えてくださったことに心から感謝しています。
PICCが提唱する「王道経営実践7つの柱」を中心に、キャリアドライブの活動を考えていきたいと思います。
まず「社会性」についてですが、我々が地域の人たちとの関係性を大切にして事業を展開したところ、市役所などの行政と方向性を同じくするようになりました。市町村など地方自治体の施政方針に沿った取り組みは地域のためになるはずですから、引き続き行政と連携していきたいと思います。
(富士市の市役所とコラボしたプロモート用の教習車)
次の「独自性」に関して、我々はどの事業者もあまり手を出したがらない領域に挑戦しているという自負があります。保育園事業も少子高齢化の日本社会では、尻込みする企業は少なくないでしょう。しかし我々にとって保育園事業は、社会性が高く、社員のキャリアの幅を広げることに役立つものであり、勇気を出して始めました。参入ハードルが高い分野をあえて選んでいるので、もちろんリスクはあります。しかし、誰もやらないことに挑戦するという独自性を追求しない限り、企業の明日はありません。今後も挑戦を続けていきたいと思っています。
「経済性」は、正直なところ苦手分野でした。PICCの学びを受けるまでは、お恥ずかしい話、どんぶり勘定で、決算で全体状況を把握して軌道修正するくらいでした。しかし、事業を安定して長期的に運営するには、経済性が重要なのは言うまでもありません。今では、各事業所の幹部で部門決算を実施して運用するというかたちにしています。そして会社が得た利益をステークホルダーに公平に分配するという「社中分配」に従い、利益の4分の1は必ず社員に還元する仕組みを整えました。おかげで現場の主体性も引き出され、現在は3期連続で売上が増加しています。
「公平性」は今も改善の最中です。給与規定や就業規則が時代のニーズにマッチしておらず、社員から不満が出たことがありました。そこで、社員の意見を吸い上げ、改定を行いました。公平性は個人や時代によって捉え方も違うので難しい分野ですが、できるだけ皆が納得できる点を探していきたいと思っています。
「継続性」に関して、我々の収益の柱である自動車教習所事業が少子高齢化の波を受けて、今後先細りしていくことを考えると、利益の再投資が必要だと感じています。国家資格取得のサポート事業も、どんどんブラッシュアップすることで太い柱に育てていきたいと思います。
(キャリアコンサルタントを育成することで地域の皆さんを生涯にわたってサポートできる)
「改善性」は終わりのない道です。毎月幹部を集めて戦略ミーティングを行い、新サービスや新商品などを企画することで、常に新しい風を吹き込むようにしています。
「魂の決断」について、私は「子どもに聞かれたときに恥ずかしくない仕事ができているか?」を基準に考えています。お父さんはこういう仕事をやっていると堂々と説明できれば、世の中に求められている仕事ができているということでしょう。もちろん、今の事業は全て胸を張って語れる仕事です。
大久保会長には、「国内だけではなく海外にも目を向けよ」とよく言われています。将来は地元密着という濃密な関係を保ったまま、世界まで活躍の幅を広げる「グローカル展開」をしていきたいですね。提供できるサービスを増やし、今後も地域の皆さんに寄り添い、幸せに生きるサポートを続けていきたいと思います。
株式会社キャリアドライブは、1966年の設立以来50年以上にわたり地元密着型の自動車教習所を運営しています。2013年以降、レンタルバイク事業、訪問看護事業、人材紹介事業、資格取得スクール事業、保育事業と異なる業界に次々挑戦してきました。
事業の根底にあるのは、地域の方々に寄り添い、幸せに生きるサポートを一生涯続けていきたいという思い。自動車教習所には、初めて免許を取得した50年後に高齢者講習を受けに再びいらっしゃるなど、3世代にわたり通ってくださるお客様もいらっしゃいます。そのような長いお付き合いをさせていただく我々がお客様にさらに貢献できることはないのだろうか?と考えた結果、人生の様々な節目でお客様に寄り添う「キャリア支援」に行き着きました。
2018年に始めたキャリアコンサルタントという国家資格取得のサポート事業です。豊かなキャリアを実現させたいと願う我々にとって、キャリアコンサルタントは親和性が高いうえ、人生100年時代と言われる現代社会では、人生選択に真摯に向き合う質の高いキャリアコンサルタントを求めるニーズが高まると予測されます。優れたキャリアコンサルタントの輩出は、地域への貢献に間違いなく繋がるので、自動車教習所事業で培った指導ノウハウなどをうまく転用して成功させたいと思います。
田村 嘉規
株式会社キャリアドライブ 代表取締役
法務大臣委嘱 保護司(藤沢保護区)
認定NPOスペシャルオリンピックス日本 神奈川 理事
※ 本記事は、2022年2月に掲載されたものであり、掲載当時の情報となります。