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株式会社えこでん

中小企業の省エネ化を支援し、地球のための循環型社会実現をめざす

【PICC会員企業紹介】

※  本記事は、2024年9月に掲載されたものであり、掲載当時の情報となります。

 

 株式会社えこでんは、中小企業の省エネルギー化支援を提案から施行までワンストップで担う。その知見の広さ、経験の豊富さから、何かと何かを組み合わせて課題解決に導くことを得意とし、省エネコンサルティングとしては唯一無二の存在と自負する。

  

 そうした強みに気づけたのは、「PICCの仲間たちがいてくれたからこそ」と同社代表取締役の久我和也さんはふり返る。力が足りずにできなかったことへの後悔に行く手を阻まれた時、自分の足元にある価値観に目を向け、理念の芽を見つけてくれのだと言う。

  

 現在、久我さんが構想する、環境、エネルギー、社会課題を総合的に解決する夢のリサイクル工場の実現に向けたビジョンは、そうした仲間がいればこそ想うことができ、現実のものとできると確信している。そうした未来を見据えることを可能にした、PICCと「王道経営実践7つの柱」の学びと実践について伺った。

中小企業の省エネ化を支援し、地球のための循環型社会実現をめざす

株式会社えこでん 代表取締役 久我和也さん【画像提供:えこでん

会社概要

株式会社えこでん

代表取締役  久我和也

  

事業内容:事業所の改装・修繕用の機械器具の販売、各種環境設備及び省エネルギー設備の販売、関連メンテナンス、省エネルギーに関するコンサルティング

所在地:〒963-0101 福島県郡山市安積町日出山2丁目19−4

資本金:100万円

設立年月日:2010年5月

TEL:024-954-3625

http://www.eco-den.co.jp
  

理念の大切さ

 当社は2010年に創業し、現在15期目を迎えました。創業以来、主に建物の省エネルギー化によるコスト削減のプランニング、施行、関連メンテナンスを担っています。こうしたトータルな提案と対応は、大手企業に対するコンサルティングは存在しますが、当社のお客様である中小企業向けのものは希のようです。

 当社も私が個人自営業から起業した時点では、使用電力を総合管理するシステムの提供からスタートしました。その後、個々のお客様からの空調や照明の設備更新や、施工費用に対する補助金申請の相談などに応える中で、ワンストップで対応できる知見と実績を持つ様になりました。

  

 当社は「地球と社会に優しく」を理念として掲げていますが、それはPICCとの出会いによって生まれました。

 創業1年目、顧客対応の範囲が多岐に広がる一方、私の将来のビジョンはあやふやでした。当時、地元商工会議所主催のワークショップで「自社の売り」を考える課題を出されても、なかなかしっくりしたものが作れませんでした。今でも「言語化」は、私にとって苦手意識があります。

  

 ワークショップでチームを組んだ仲間たちは、そんな私から仕事や取り組みを聞き、「地球を守るえこでん」というワードを導き出してくれたのです。私は、公共性やコストといった外枠の言葉ではなく、足元の地球、そこに住まわせてもらっている自分という明確な視点を持つ事ができました。

 その後、PICCへ入会し学ぶことで「地球と社会に優しく」の理念を言語化し、お客様の「したい」に対し、自分が何を成すべきかを常に考えることが可能になったのです。

  

理念の大切さ

えこでん 作業の様子【画像提供:えこでん】
 

PICCからの学び(PICCによる変化)

 PICCの仲間等からは、「人に助けてもらう」ことの大切さも学びました。それは、仕事を紹介してもらうことだけではありません。仲間たちの考えや姿勢から気づきや発見などの学びを得られることで、自分の壁を越えることができました。その経験に基づく「助けられた」という思いは強く持っています。

  

 私は、個人で起業し、ひとりで実績を重ねてきましたが、ある時、人を雇う決断をしました。ひとりは世話になった職人さんが身の置き場をなくしていたため会社に招き、もうひとりは人に頼まれて補助金で雇用し、さらにアルバイトをひとり採用したのです。私はそれぞれの人に対して「良かれ」と思って決断したのですが、3人とも長くは続かず辞めてしまいました。社長として雇用も離職も初めてのことでしが、思わぬ結果がその後の私を苦しめます。

  

 そのトラウマを脱することができたのは、PICCや仲間等からの学びです。私が学んだのはノウハウやテクニックではなく、経営者としての「在り方」です。

 心意気は良しとしても、実力が伴わない状態では思ったことも存分に出来ないということが身に染みて分かりました。所謂「ひ弱な善人」だった訳で、このままではいけないと強く思いました。そして自分に足りない部分をたくさん教えてもらいました。

 

 経営者は大きなものの実現に目が行きがちです。しかし、実力が伴わないと細部に目が行き届きませんしフォローが疎かになります。「誰かのため」「良かれ」と思うだけでは何もなし得ることはできないのです。この理解を、私は「想いの現実化」と呼び、PICCの王道経営の学びにも役立てています。

  

PICCからの学び(PICCによる変化)

PICCの仲間たちとの学びの様子【画像提供:えこでん】

PICCでの学びの実践と成長

 PICCと仲間たちからの学びを重ねることで、私の経営も徐々にバランスの取れたものとなってきました。その上で自分の「想いの現実化」に向けた、「王道経営実践7つの柱」の学びと実践についてご説明します。

  

 社会性には、「地球と社会に優しく」の理念が欠かせません。エネルギーコストが社会問題化する中、省エネは解決策のひとつですが、どうしても経済効果で語られることが多いものです。太陽光発電もCO2の削減効果よりも、コストや電気の買取価格に目が行ってしまう。しかし、当社は理念に基づき、「誰のために? 何のために?」を自問し、地球と社会のために環境への貢献を目的としたミッションに取り組んでいます。

  

 その独自性が当社の強みとなり、お客様に選ばれる理由となっています。電気工事会社や設備工事会社と価格競争をするのではなく、お客様にコスト削減と環境貢献を両立した価値ある省エネを提案し、導入費用の軽減として補助金の活用を支援できる仕組みです。

 その結果、PICCに入ってからの比較では、売上は2倍、しかも利益率は4倍となりました。約10年の時間はかかっていますが、継続が積み重なった現在の手応えは、確実にこれからの未来につながっていると確信しています。

  

 こうして経済性を確立できたことで2つのことが可能になりました。

 ひとつは公平性の実践です。かつてはトラウマにさえなった雇用にも取り組み、新たな社員が入社しました。私の自己実現だけでなく、ここでも「誰のために? 何のために?」を自問しながら、社員の働きがい、満足度の向上のために投資していきます。

  

 もうひとつは経営者として継続性を持つために「次を探す」ことです。それは、未来を社員やお客様と共有するためのビジョンを持つことにもつながります。

 今まで積み上げてきた実績と知見を組み合わせた夢のリサイクル工場を作りたいと考えています。省エネ・コスト削減だけではない、エネルギーの循環を生み出すビジョンです。

 たとえば食用油を原料にしたバイオディーゼルの生産。これは活用範囲が広く、すでにジェット機の燃料としても実用化されています。

 また、2040年には太陽光パネルの大量廃棄問題が言われています。これをリサイクルにより利用期間を延ばすことで、廃棄コストを緩和させ、再生エネルギーの推進を後押しすることが期待できます。

 もうひとつ、「誰のために? 何のために?」から考えていることがあります。高齢化がさらに進むことで紙おむつの需要も高まります。使用済み紙おむつを燃料ペレットにする技術はすでに確立されており、リサイクルされ燃料にすることで、紙おむつ利用者の心理的負担を少しでも軽減できるのではと考えています。

 このビジョンには、社会性、独自性、経済性、公平性のすべてが関わります。そしてその過程において、イノベーションを学び、組織の体制づくりを重ねて行く改善性は、当社に欠かせないものとなって行くはずです。

  

 こうしてこれからのことを整理してみると、大久保会長が大事だと言われる「魂の決断」への理解も少しだけ深まった気になります。

 私は、「魂の決断」と似て非なるものに「蛮勇」があると気づきました。かつての身の丈に合わない浅い考えでの経営決断は、「他人のため」「よかれ」と思った上であっても、蛮勇でしかなく何も実現出来ないことを痛感しました。

 ビジョンの実現には、倒れない、下がれないことへの覚悟と、そのための万全の体制が必要です。これからも「王道経営実践7つの柱」をさらに学び、細部まで深く考えることのできる経営者を目指して行きます。

 

PICCでの学びの実践と成長

毎年、郡山で行っている「ぼくらの音楽祭」の準備風景【画像提供:えこでん】
 

事業紹介

 当社は、省エネに特化した電気設備事業者として、企業のコスト削減、CO2削減に貢献してきました。とくに近年は、中小企業様自らがSDGsへの関心を高めており、環境貢献とコスト削減の両立を模索されるようになりました。

  

 空調や照明設備の省エネルギー化には、公的補助金制度があります。当社には、お客様の施設や事業内容などの諸条件に合わせた設備・施行方法の最適化のご提案と、補助金申請のサポートまでをワンストップで対応できる実績と知見が豊富にあります。

 省エネの生み出す環境貢献とコスト削減効果、導入資金調達の両面からお客様をサポートすることで、当社の理念実現にこれからも取り組んで行きます。

  

 今回、ご説明した夢のリサイクル工場も決して夢のままにせず、1年、2年の内に何かひとつ実現し、5年、10年と時間をかけてでも社会課題解決の一助となる実践を現実化させます。PICCで共に学ぶ経営者の皆様とは、その共創・協働者としてご一緒に何かを成し得ることができたなら嬉しい限りです。  

  

プロフィール

久我 和也

株式会社えこでん 代表取締役
 

1970年福島県生まれ 地元の工業高校を卒業後、地元の製造工場へ勤務。 その後、転職し販売や顧客管理を経験し、省エネ商材の商社で営業と部門立ち上げを経験する。 省エネは地球環境への貢献とコスト削減でのお客様への貢献が両立出来ることを知り、省エネの必要性を感じ平成20年に独立。 エネルギー分野で地球環境と社会に貢献する会社【株式会社えこでん】を設立、代表取締役に就任、現在に至る。

  

 

※  本記事は、2024年9月に掲載されたものであり、掲載当時の情報となります。

取材協力:

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