PICC Member
【PICC会員企業紹介】
※ 本記事は、2022年2月に掲載されたものであり、掲載当時の情報となります。
美容室、エステ、ネイル、アイラッシュ、訪問美容を提供するトータルビューティサロン、株式会社LIFE。いっときは倒産の危機にまで陥った同社だが、PICC(公益資本主義推進協議会)との出会いによりV字回復を達成。PICCでの学びは経営だけでなく、教育やマネジメントにも大いに生かされているという。
今回は、「美容での笑顔の具現化 人の幸せ、ありがとうのために生活の新しいことを作り続ける」を経営理念に、お客様や地域住民、スタッフの笑顔をつくり続ける株式会社LIFE代表取締役の松井直樹さんに、事業における理念・ビジョンの大切さ、PICCで得たことについて伺った。
LIFEの理念は『美容での笑顔の具現化 人の幸せ、ありがとうのために生活の新しいことを作り続ける』です。
この理念を、美容を通してどこまで達成できるかが経営者としての私の役割です。戦略や経営方針は時流に合わせて変わるかもしれませんが、会社の自分軸である理念、ビジョンは決して揺らぐことがありません。
PICCと出会う前は、会社の理念やビジョンなどをここまで真剣に考えたことはありませんでした。それらが持つ重要性を全く理解していなかったのです。そのせいか、LIFEはいっとき取引先への支払いも滞り、金融機関から会社を畳むことを促されるほどの経営危機に陥りました。
この倒産寸前のタイミングでPICCの大久保会長と出会い、会社の正しい「在り方」を学んでから、私の人生は一変しました。驚くべきことですが、「在り方」で全てが変わります。経営者が社員、会社、地域、日本、世界、地球のために企業として何をすべきかを徹底的に考え、その思いをビジョンとして言語化し、行動指針としてアクションに落とし込み、日々実行することで会社は伸びるのです。
PICCの学びのおかげで、2006年にセット面3面、シャンプー台2台の小さなサロンから始まったLIFEは美容室、エステ、ネイル、アイラッシュ、訪問美容を提供するトータルビューティサロンに成長し、今も右肩上がりを続けています。
大久保会長は、「会社のナンバー2となる存在はつくるもの」と仰っていました。経営者はよく「ナンバー2がなかなか育たない」「ナンバー2候補としてせっかく育てたのに定着せず、独立していってしまう」などと嘆きますが、厳しい言い方をするならば、それは社員としっかり向き合っていないことを意味しているのだと思います。
ナンバー2をつくるには、会社の思いやビジョンを実感を込めて毎日、何年にも渡って語り続けるくらいのことをする必要があります。四六時中行動を共にし、経営者の思いを丁寧に共有しないといけません。非常に手間のかかることですが、私は大久保会長から繰り返し繰り返しナンバー2の大切さや、育て方を教えていただいていたので、素晴らしいナンバー2を得ることができました。
LIFEのナンバー2は、「私は1年後に独立します」と入社時に宣言していた社員です。私はその人とずっと一緒に働きたいと思ったので、大久保会長の教え通り、LIFEのビジョンや理念を耳にタコができるくらい語り続けました。すると、今では「LIFEで生涯働かせてください」と言ってくれる非常に頼もしいナンバー2になってくれています。
PICCでの学びは経営だけでなく、ナンバー2の育成といった人事や教育などの全てに生かすことができます。大久保会長の教えは非常に深いので全て実践できているわけではありませんが、一つひとつの学びがとても価値あるものなので、今後も引き続き実践していきたいと思います。
PICCでは、「王道経営を学び、実践する、いい会社を増やす」という2022年度の最上位目的を達成するため、特に重要な7つの要素を「王道経営実践7つの柱」として定めています。「王道経営実践7つの柱」とは、社会性、独自性、経済性、公平性、継続性、改善性、魂の決断を指します。以下では、各々の柱についてどの程度実践できているかを考えたいと思います。
まず「社会性」、つまり事業を通して社会が抱える問題解決を目指すという点に関してですが、これはまだ不十分なところがたくさんあると感じています。『美容での笑顔の具現化 人の幸せ、ありがとうのために生活の新しいことを作り続ける』というビジョンの通り、美容を通してお客様を笑顔にするということを引き続き行なっていくことに加え、より社会性を持った仕事を今後は立ち上げていきたいと考えています。
次に「独自性」、商品・サービスが差別化されているという点ですが、私はあまり同業他社との交流がなく、自社のサービスを客観的に見る機会がありませんでした。しかし、最近は美容室のオーナーさんたちから、「松井さんの話が聞きたい」と言っていただけるようになりました。ということは、LIFEのサービスに一味違うものがあると評価していただけているのではないか? と楽観的に考えています。今後は勉強会の開催や、他社へのコンサルティングなどを視野に入れています。
「経済性」、つまり長期的に継続していけるだけの売上・利益を確保することですが、LIFEの業績は右肩上がりを続けています。しかし、美容室はカット代金3000円〜4000円の積み重ねなので、他業種と比較して利幅は大きくありません。さらに高い水準で安定して利益を生み出し続けるシステムを考える必要があります。この経済性を固めないと、社員や地域の幸せにつながらないので、ハードルは高いですがしっかり挑戦していきたいと思っています。
「公平性」とは、会社があげた利益を、株主だけではなく、会社を支える社中各員(ステークホルダー)に公平に分配することです。LIFEは美容室では珍しく、ボーナスを出し、社会保険も完備しています。今期は社員の基本給を上げ、休みも増やしました。公平性をどのようなかたちで表現するかは難しいものがありますが、日々頑張ってくれている社員やその家族に喜んでもらえる方法を模索していきたいと思います。
「継続性」とは、会社の持続的成長を支えるために、中長期的な投資を行なうことです。先ほどナンバーツーの話をしましたが、今はナンバースリー、ナンバーフォーを育てることが課題です。会社の理念やビジョンはすでに社員にしっかり浸透していると感じているので、引き続き熱く思いを伝え続けていきたいと思います。
「改善性」とは、一手、二手先を読み、先手を打つという姿勢を示しています。LIFEでは、マーケティングや教育のブラッシュアップを常日頃から心がけています。また、技術力が必要なのでスキルを磨く勉強会などの機会も積極的に設けるようにしています。
最後に「魂の決断」ですが、これは本当に難しいです。経営者は体の決断、心の決断ではなく、善・悪や正・否で判断する「魂の決断」を下す、という意味なのですが、正直に申し上げると、まだ私は魂の決断を成し遂げられたことはないと思っています。PICCで何度も勉強したことですが、まだ、この言葉をしっかり使える経営者にはなれていないように思います。私の理解では、魂の決断は「やりきる」という意味だと思います。私にとって非常に重く、大切な課題です。引き続き、しっかり向き合っていきます。
今回、「王道経営実践7つの柱」を振り返ってみて、新たな課題が見えてきました。
PICCで在り方を学んだ私は、「人に優しくしたい」「社会性を大切にしたい」と当たり前に思うのですが、たまに「松井さんは優しすぎる。松井さんが大切にしたいものは時間だけがかかって、お金にならないよ」と言われることがあります。そう指摘されるたびに、「社会性があるからこそ利益や周囲からの信頼がついてくるんだよ」と反論したくもなるのですが、言葉で諭すより、私が「実践」して範を示すことが最も説得力があると思いますので、私はこの課題と向き合い、引き続き努力を続けていきたいと思います。
株式会社LIFEは、美容室、エステ、ネイル、アイラッシュ、訪問美容を提供するトータルビューティサロンです。栃木県と群馬県に1店舗ずつサロンを展開しています。私たちの原動力はお客様の笑顔です。綺麗にまとまった髪や、美しく彩られた爪を見たりすると、自然と人は笑顔になって幸せを感じます。私たちはその笑顔をたくさん生み、幸せな人を少しでも多く増やすことを心がけています。
そのやりがいを特に感じることができるのが、訪問美容です。訪問美容は需要の高さにもかかわらず、採算がとりにくいため、積極的に行なう美容室はまだまだ多くありません。しかし、LIFEのスタッフは若手からベテランまで全員が訪問美容に行きます。単に外見を整えることが美容ではなく、心までケアをすることが美容であるということを学ぶ非常に良い機会となるからです。以前、意識がなく寝たきりの患者さんのもとに伺ったとき、髪を切っているとその方が微かにニコッと笑顔になったことがありました。それを見ていたご家族も笑顔になり、本当に素晴らしい瞬間でした。
LIFEのサービスを通して地域の皆様が笑顔で幸せになってくれることが何よりの喜びです。私たちのサロンは地域密着を意識しており、地域のお子様に向けたイベント開催や、地域清掃などもよく行なっています。こうした活動のためか、ご紹介割引やキャンペーン割引などを行なうと、お客様から「LIFEさんは地域貢献をしっかり行なっているのだから、割引なんてしないでいいの」と仰っていただいたことがあり、お互いを思いやる素晴らしい関係性が築けていることを嬉しく思っています。
※ 本記事は、2022年2月に掲載されたものであり、掲載当時の情報となります。