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主治医のような社会保険労務士法人

成功の反対は、失敗ではなく、挑戦しないことである

【PICC会員企業紹介】

※  本記事は、2023年6月に掲載されたものであり、掲載当時の情報となります。

 

 主治医とは、治療に関して主たる責任を負う医師で、病気や怪我の状態はもちろん、過去の病歴、希望している治療内容など、患者のことを最もよく理解している存在である。

 

 岡本洋人さんは、会社においても経営者の思いや歴史が異なるので、会社のことを最もよく理解している社会保険労務士を目指したいと考え、法人の名称を「主治医のような社会保険労務士法人」とした。

 

 一般社団法人公益資本主義推進協議会(PICC)の大久保秀夫会長から、100年ビジョンを作るように教えられ、100年後の社会を考える中で、2016年にAIを使った労務相談自動化システムを開発した。Chat GPTが登場した現在では当たり前のようになったAI技術だが、岡本さんが開発したシステムは、当時としては画期的なものであった。

 

 このようにPICCおよび大久保会長から多くの学びを受け、実践してきた岡本さんに、経営理念、100年ビジョン、「王道経営実践7つの柱」について伺った。

  

成功の反対は、失敗ではなく、挑戦しないことである

代表社員 岡本 洋人さん【画像提供:主治医のような社会保険労務士法人】

事業所概要

主治医のような社会保険労務士法人

代表社員:特定社会保険労務士 岡本 洋人(おかもと・ひろと)

事業内容:ミッションやビジョンの構築支援/人材採用支援/健康経営の支援/業務の自動化支援/事務手続業務/アドバイザリー業務

所在地:

 法人本部 〒065-0015 北海道札幌市東区北15条東16丁目1-8-2F

 宮古島CCIオフィス 〒906-0012 沖縄県宮古島市平良字西里240-2琉球銀行ビル3F

従業員数:20名

設立:2000年7月15日

https://shujii.co.jp/

    

経営理念、100年ビジョン

 弊社の経営理念は、「主治医のような、社労士であろう」です。企業の健やかな成長のために奉仕することを目指しています。弁護士や会計士、税理士、行政書士などの人脈を生かし、総合病院のようにワンストップで課題を解決していくよう、スタッフ一同、全力を尽くしています。

  

 2016年に定めた100年ビジョンは下記のとおりです。

  

 限りある、人生

 限りなき、リレー

 社労士の守備範囲を超えて

 全ての「困った」に答えを

 おせっかい魂を、100年リレーする

 

 これは大久保会長の教えを100%忠実に守ろうという決意を込めて作成しました。100年残さなければいけない計画なので、しっかりと冊子を作り、全てのお客さまにもお渡ししました。

 

 また、100年計画を考える中で、もちろん北海道の会社のために尽力していくという道もありますが、日本の人口が減少し、低成長の時代になることは予測されていることです。海外進出も視野に入れた計画を立てておかなければなりません。

 

 具体的には、2019年までは北海道で活動し、2026年までに日本全国に展開、2046年までにアジア、100年後の2116年には地球サイズで労務トラブルの減少に尽くすという計画を立てました。

 

 北海道での3年計画が終わった翌年の2020年、宮古島に支店を出すことができたので、今のところ日本全国のクライアントに対応するという計画どおりに進めています。

  

大久保秀夫会長から学んだ「挑戦する心」

 2010年代前半に、大久保秀夫塾が終わった後にできた塾の2期生で入りました。初めて大久保会長の生の声を聞き、「余命3カ月を意識することだ」という話に熱いものがみなぎってきました。また、「今だけ、金だけ、自分だけ人間にはなるな」という内容は、本当に肝に銘じています。

 

 他にも、経営理念を浸透させる話を強調されていたので、試行錯誤を繰り返しながら理念の浸透を試みました。最近は、この理念浸透のおかげで社員が自走し始めたと実感しています。

 

 当法人は、17個のテーマを決めています。テーマの種類はお客様満足が9個、組織づくりが4個、人間磨きが4個です。朝礼でそれらを実践した感想を共有する。今では社員たちが自ら考えてより良いアイデアを出してくれるようになりました。

 

 また、大久保会長自身が挑戦してこられたので、われわれも「挑戦する心」を持ち続けるため、誰もやったことがなかったAIによる労務相談自動化システムを開発しました。

 

 さらに平均年収の向上と年間労働時間の削減にも挑戦しています。実際に2016年の正社員の初任給は16万円でしたが、今は24万円になっており、労働時間も毎年100時間ずつ減らし、2022年は1700時間(うち100時間は研修時間)を達成しました。

  

大久保秀夫会長から学んだ「挑戦する心」

大久保会長の教えを実践し、自走をしてくれる社員たち。写真は飲み会時
【画像提供:主治医のような社会保険労務士法人】

「王道経営実践7つの柱」の取り組み

 「王道経営実践7つの柱」に関する当法人の取り組みは以下のとおりです。

 

 まず、「世の中から労務トラブルを減らし、なくす」という社労士事務所の仕事そのものに「社会性」があります。単にトラブルをなくせばいいというわけではなく、その上で、お客さまの会社が、世のためになるサービスを生み出せるようにすることが大事であると考えています。また、必ずお客さまを黒字にして、納税することも、強く意識しています。

  

 「独自性」については、2016年にAIを使った労務相談自動化システムを開発したことが挙げられます。Chat GPTが出たので役割を終えたと思い、いったんアカウントをクローズし、現在は人だからできるサービスを作っています。特に、2021年から始めているCxO(最高〇〇責任者)のサービスは、同業では初となる試みだと自負しています。

  

 「経済性」について。売り上げは毎年少しずつ増えています。コロナ禍で黒字がクリアできない時期もありましたが、資金繰りはうまくできています。翌月10~15日には税理士を交えて経営指標に関するミーティングを行い、キャッシュフローや損益をきちんと把握し、必要であれば軌道修正しています。本業以外の投資はしていません。

  

 「公平性」について。当法人は、株主という概念が私1人なので、私への分配ではなくて、スタッフの年収アップに配分する流れになっています。また、社員、社員の家族、社員のペットは、全て家族だと思って接しています。毎月1回、全員と1 on 1でミーティングを行って社員の実情を把握し、公平性が保てるようにしています。

  

 「継続性」については、100年ビジョンを掲げ、毎年期初に中長期の経営計画を発表しています。現在は100年ビジョンの中で日本のフェーズにあり、2027年にはインドネシアに行くことは皆が共有しています。実は、今までいた2人のナンバー2が体を壊して辞めてしまい、大激震が起きました。しかし、正社員は20~30代と若返り、まっさらな子たちに理念が注入されて、とても熱い状態が作り出されているので、またナンバー2を2人育成中です。

  

 「改善性」について。新しいアジアのマーケットは不安でしかないのですが、どうやってアジアの企業や人に貢献できるのか研究して、同じようにアジアに進出しようとしている複数のお客さまと毎月ディスカッションをしているところです。十分できているかというと、まだ改善の余地があります。

  

 「魂の決断」は、2017年に初めて仕事で宮古島へ呼ばれた時、商工会議所の方に「社労士がこの島には1人しかいない。すごく困っている。進出できないか」と言われ、「2020年に進出します」と宣言したことです。実際に2020年、宮古島に支店をつくりました。当時はコロナ禍で宮古島の観光産業が大打撃を受けていたので、毎月30社分の助成金申請書類を作成しました。同業者はこの時期に申請業務で利益を得ていましたが、私は困っているお客さまにこれ以上の負担を強いられないと考え、1年半の間、報酬ゼロで業務を続けました。後悔はしていません。
 

「王道経営実践7つの柱」の取り組み

事務所の内観。Barも併設している。【画像提供:主治医のような社会保険労務士法人

事業紹介と強み

 主治医のような社会保険労務士法人は、札幌市を中心とした北海道および全国各地の企業、医療機関、社福法人、学校法人などに対して、社会保険労務士サービスを提供しています。「世の中から労務トラブルを減らし、なくす」ということが社労士事務所の使命だと考え、社労士業務の枠にとらわれず、さまざまな相談に対して、他の専門家と連携して解決しています。

  

 当法人の強みは、「スピード感」、「先進性」、「挑戦する心」です。社労士個人ではなく、チームとしてスピード感のあるサービス提供を心掛けています。またIT技術・機能の導入など、常に先進的な取り組みを意識しています。もちろん失敗やミスをすることもありますが、「成功の反対は、失敗ではなく、挑戦しないことである」という思いをモットーに、常に前向きに行動しています。

  

 このような取り組みをしてくためにも、従業員の満足度を上げることは欠かせません。従業員満足あっての顧客満足だと考えています。その一環で、労働時間を減らす取り組みも行っています。休みが増える分、お客さんに迷惑を掛けてはいけないので、個人からチームで仕事をする体制に変えたことで、スピード感が生まれました。

  

 社員を犠牲にするという考え方は持ち合わせていませんが、決して社員を甘やかしているわけではありません。どうしても必要なときや、緊急事態の際には、無理をしてでも駆けつけて対応していますので、安心してご連絡ください。
 

プロフィール

岡本 洋人おかもと・ ひろと)

1973年6月、北海道札幌市生まれ。札幌学院大学社会情報学部を卒業後、住宅メーカーを経て、祖父が経営していた速記事務所に入社。

1998年、社会保険労務士試験に合格。翌年から労働保険事務組合勤務。

2000年、開業。

2003年、労働保険事務組合のグループとして設立された社労士法人日本ヒューマンブレーンの代表に就任。

2006年、社会保険労務士オフィスオカモトを開業。

2016年、主治医のような社会保険労務士法人設立。代表に就任し、現在に至る。

 

※  本記事は、2023年6月に掲載されたものであり、掲載当時の情報となります。

取材協力:

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